日日是好日

日々の雑記

東京大学 公開講座 2021 DAY2

前回書いた、東大公開講座DAY1についての記事は

きちんとした記事としては初投稿だったのに、7331文字という超大作になってしまいましたので、今回はもっと要点と感想をまとめてお送りいたします。。苦笑

 

DAY2の今回は、「繋がる医療」がテーマでした。

 

 

死生学と応用倫理における「繋がり」という課題

人文社会系研究科 教授の、池澤優先生による講義です。

医療というテーマにも関わらず人文社会系!!!と大興奮して始まりました。

 

生命倫理環境倫理の2つの側面から、繋がりについて考えました。

 

「自律の価値は維持しつつ、繋がりを組み込んだ新しい価値を創造することが課題となっている」というまとめが印象的でした。

個人の死生において、「本人の意思」の有無というのは重要なポイントとされていて、例えば中絶においては「胎児にはまだ人格がないのだから中絶は悪ではない」という意見もあれば「個人の内面に他者が触れることはできないのだから、胎児の存在を他者が無きものにする(無視する)という中絶は1つの暴力である」という意見もありました。

それは、個人の意思や自立の(つまり個人主義的な)側面でのみ議論されているわけですが、医学が進歩した現代では、遺伝子改変やクローン人間などの技術が発見され、個人の自己決定だけでは立ち行かなくなってきたのが現状なのです。

 

隔離によりつながる命:中国のCOVID-19対応を中心に

公共政策学連携研究部 講師である金貝先生による講義でした。

内容は、中国のコロナ対策についての紹介、解説でした。

 

日本でも議論がなされてきましたが、コロナ対策では「個人の自由をどこまで制限するか」という課題が非常にネックです。

中国は全体主義であるため、強制的な措置をとることができ、それがコロナに対する迅速で確実な対応へと繋がりました。感染リスクにおいては日本よりも安全といえます。

 

金先生は、個人の自由と感染拡大防止は両立しえないと仰っていました。

論理的にその通りだと思いますし、この問題以外にも様々な質問を受けておられたのですが、金先生の明確で具体的な回答は本当に素晴らしく、感動しました…。

 

遠隔医療分野に求められる医療機器・システム

工学系研究科 教授の佐久間一郎先生による講義でした。

内容は、議題の通り遠隔医療についての現状と、課題についてでした。

 

DAY1で檜山先生も仰っていましたが、便利なツールや技術を社会へ送り出すときには、ユーザービリティと社会的な視点が必要不可欠であると、今回の講義を聞いて改めて実感しました。

高齢者が対象となるシステムでは特に、使い方を正しく伝えなければなりません。こちらが正しく分かりやすく伝えたと思っていても、相手側との認識に齟齬があることは大いにあるのです…(佐久間先生のお話では、身に着けて使用する医療装置について、高齢男性に「この装置はとっても大事なものなので、大切にしてくださいね」と伝えたら、身に着けずに仏壇に置いていた…というエピソードがありました…)

また、社会的な視点としては、悪用の懸念についてのお話がありました。社会問題にもなっていますが、便利なツールは便利である一方使い方を変えれば悪用もできます。それに対して佐久間先生は「正しい使い方以上のことをさせないように(設計・制限)する」とご回答されていました。